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2013. 03. 25  
『シズコさん』佐野洋子
新潮社

“母娘関係を考える読書”シリーズの最後(今季の?)として読んだ。

新潮社のPR誌「波」に2年間連載された24編の文章。
したがって、内容に重複が多い。
でも、その重複こそが、佐野が“根に持っていた”ことを表しているようで、「またその話ですか?」なんて文句を言わずに、「心中お察し申し上げます」スタンスで読むことができる。

佐野の本には、
「幼い頃、母と手をつなごうとして振り払われた」
「母は夭折した兄を溺愛していて、私が兄の代わりに死ねばよかったと思っているに違いない」
という話がよく出てくるが、
この『シズコさん』を読んで初めて、母との確執がどれほどのものだったのかの、詳しい事情がわかった。

また、夭折した兄への思慕はこれまでよく書いていたが、この本では、4歳で死んだ弟タダシへの思いが随所に出てくる。

母親からほとんど虐待に近い扱いを受け、18歳で家を出た洋子さん。

お母さんが呆けてホームに入り、
(洋子さんは入所させたことを「私は母を捨てた」と何度も繰り返す)
「良い娘」である妹に比べ、洋子さんはごくたまにしかホームに面会に行かないが、その10年のうちに、少しずつ母と和解していく。
お母さんの死の時期は、洋子さん自身、乳がんの闘病中でたいへんだった頃。
じっさい、お葬式や火葬場では、洋子さんは病気のため(?)朦朧としていて記憶もあやふやである。

洋子さん独特の毒舌文体で自分と身内の過去を赤裸々に書いている。
悪口、罵詈雑言吐きながらも、根っこのところでは皆を「いい人だ」と暖かく見ているところが洋子さんらしい。
母はもちろん、家庭的でなかった父、弟妹、叔母夫婦、つれあい(谷川さん)、お手伝いさん…。

ただし、テルコさん(弟嫁)と大学時代の同級生“東京の金持ちの女の子”の二人だけは心底さげすんでいるが。

呆けてしまったお母さんと最終的には和解したこと。
誰の記憶にも残っていない4歳で死んだ弟タダシのことを作家として表現したこと。

この2点によって洋子さんは『死ぬ気まんまん』の境地にまでいけたのではないかしら?

世の中にはいろいろな母娘関係がある。

私は、ずっと私の半生をかけて、母親と娘というものは特別に親密なものに違いないと思っていた。私だけなのだ、母親が嫌いなのは。しかしよく聞くと、母親とうまくいかない娘というのは、ここほれワンワンの意地悪じいさんが掘り出す汚いもののように、想像を越えて沢山いた。
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あゝ、世の中にないものはない。
ごくふつうの人が少しずつ狂人なのだ。
少しずつ狂人の人が、ふつうなのだ。
私は、自分が母親に対して気がふれているという事を、自分で始末出来なかったのだ。ずーっと、ずーっと。


以上は、洋子さんの文章からの引用だが、この部分がまさに、私がこれまでシリーズ的に読んで来た母娘関係の“総括”になっている気がする。
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