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2013. 05. 26  
『教養の力 東大駒場で学ぶこと』
斎藤兆史


斎藤の英語学習に関する一般向けの本は、そのスタンスには賛同して、だいたいフォローしてきたが、本書は英語教育・英語学習から敷衍して「教養」を身につけることの意味や方法について述べている。
自己の読書歴や学習歴などの経験について述べている部分が多く、客観性には少々欠けるが専門書ではないので、エッセイとして読めば面白い。

「新時代の教養を支える三本の柱」として
① 知的技術 
膨大な量の情報を分析し、必要なものを選び出して、それを自らの知的活動の材料にする。

② バランス感覚=センス・オブ・プロポーション
選び出した情報を元にして複数の価値(観)を比較検討し、一つの主義信条に固執することなく、最終的に最も妥当と考えられる判断を導く能力。

③ 「人格」の理念、「善」
人として善良であることと、つねに「善くなろうとする祈り」を心に持っていること。

センス・オブ・プロポーションの考え方は、ディベート的「是か非か」「賛成か反対か」の二者択一的な考えかたではなく、両論を勘案しバランスよく調整・妥協・止揚してよりよき論を得るという、イギリス経験論的な知のあり方である(…と私は理解した)。
このような考え方はイギリス文学(ディケンズ・E.M.フォースターなど)に表現されているとのこと。

あれれ?
フォースターの A Passage to India を昔、読んだことがあるが、気づかなかったぞ!
確かにインド人医師(名前は何だっけ?)がマージナルマンとして、センス・オブ・プロポーションを体現した人として表現されていた、とも言えよう…これも再読しなければ!

ディケンズは、私のキンドルに全作品入っているのだけど(確かランチ1回分くらいのお値段で購入しました)、じつはまだ全然読んでいません(>_<)
気合い入れて、デイヴィッド・カパーフィールド読もうかしら…。

基本的に文系学生あてに書かれたメッセージだけど、理系の学生も読んでほしい。

『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』
辻田太一朗


最初のページに描かれている「負のスパイラル」のイラストの吹き出し

学生
先生がきちんと教える気がなくて、授業がつまんない! こんな授業なら、さぼってバイトやサークルに出てたほうがマシだよ。

企業採用担当者
学生はどうせ勉強してないから、面接ではバイトやサークルの話を聞くしかないんです。正直、大学の先生にはもっとしっかり学生を鍛えてほしいです。

学生
就活で成績を見る企業はほとんどない。だったら、楽に単位が取れる授業をとって、面接でネタになるバイトやサークルに時間を割いたほうがいい。

大学の先生
しっかり教育しようとすればするほど学生が離れていく。こんなことなら、適当にやったほうが楽だし、自分の研究に時間を使える。そもそも、学生は就活にばかり熱心だから授業に興味をもってくれないんだ。



著者は、日本の大学生が世界一勉強していない(小学生よりも勉強していない!)原因を、学生・企業・大学のどれかを犯人扱いするのではなく、上記のような「負のスパイラル」におちいっている構造を指摘して、そこからどうにかして「正のスパイラル」に逆回転させる方策を模索している。

朝井リョウの就活のテーマにした小説『何者』を読んで、就活についての認識を新たにして、正直げんなりしたのだが(朝井自身が私立文系大出身で就活経験者ですからね)、この『なぜ日本の大学生は…』はそこにある構造的な問題をわかりやすく切り込んだ書といえる。

これも、主に文系学生を対象にした議論。
(『何者』に出てくる唯一の理系学生が唯一勉強していたもんね…)

娘の進学ときに引っ越しを手伝ってくれた男の子(娘の高校時代の同級生、先に同じ大学に進学していた)が、
関西の大学について「単位は、X大は天から降ってくる、Y大は地面に落ちている、そしてZ大は掘っても出てこない、と言われるくらいうちの大学(Z)は単位取るのが厳しい」と言っていた。
(もちろん、学生間に流布している「都市伝説」ですので信憑性はありませんがね)

娘よ、良かったねぇ!
世界の大学生に遅れをとらないように、厳しい大学で鍛えられることをラッキーと思って学業に邁進せよ。

ところで、二つの本で共通して、マイケル・サンデルのことが取り上げられていた。

以上二冊を読んで、娘、大学生の皆さんへのおばさんからのアドバイス

① 授業で積極的に発言するのは「世界標準」なのだよ。
準備をしっかりして授業に出席し積極的に発言せよ
仏の社会学者P. ブルデューが、大学の授業で発言できない学生、後ろの方に坐る学生の存在(彼自身がそうだった?)から出発して「社会関係資本」「文化資本」の分析をしたけど、そんなのぶっとばせ!

(*私、ブルデュー好きです。「遺産相続者たち」など、必読だと思います。
現在の格差論の源流ですからね)

② 本をたくさん読みましょう。特に古典。
学生が読むべき本のリストなんてたくさん出ているから、そこからピックアップして、今のうちに読んでおくといいよ。

③ 外国語をしっかり。当面、まず英語ですな。
英語は十分条件ではなく必要条件。英語ができてナンボです…しかし、英語ができてナンボのもんじゃい?という担保も必要。
英文学や言語学専攻でない限り、英語はあくまでも「道具」」ですが、どうせなら使いでのよい、高級なお道具を揃えましょう(←自分でやるしかない。どこにも売ってないよ!)

④ そして、なによりも、「自分の頭で考えること」です!

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No title
私も kindle3 を買った時真っ先にディケンズの David Copperfield とソローの Cape Cod を入れましたが、全然読んでません。

大学と教養、あるいは大学教授と教養、あくまで私の意見ですが、極論すればほとんど関係がありません。almightyな人はいないし、他者への期待はほどほどに。
積ん読じゃなくて…?
コメントありがとうございました。

キンドル、私はやっぱり苦手です。
特に、名前の確認やその前に読んだところの確認など、やはり紙の本の方がいい感じです。
でも、著作権切れの古典はその価格が魅力です。

電子書籍の場合は「積ん読」じゃなくて何て言うんでしょうね?

「教養」の定義づけにもよりますが(斎藤の書でなされています)、文系の場合、教養(=学び続ける姿勢)を学ばなければ、他に何を学ぶのでしょう?
現状で「関係ない」ことになっているのが問題である、というところからスタートしているのが上記2書だと理解しています。

また、これから人材もグローバル化していくことでしょうが、大学間のクレディットの相互トランスファーにおいて日本の大学(特に文系)が認定基準を満たしていないことが多いと、オランダ在住の教育学者から聞きました。
やっぱり、若い世代には就活の面接対策やwebでの学力検査対策に血道をあげるのではなく、本質的な勉強をしてほしいなぁと期待します…おばさん根性?教員根性?丸出しですが(>_<)
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 長女ぽんは飛び立ち、長男ばぶは羽ばたき練習中。空きの巣になっても、仕事・趣味・体力作りに励み、楽しく暮らしていきます!
 読書・音楽・ウォーキング・軽登山・水泳のことなど…日々の記録です。

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