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2013. 04. 07  
『何者』朝井リョウ
新潮社

【動機】
直木賞受賞作品。
図書館で予約したときには待ち人数から「5月くらいになるかも…」と覚悟していたが、意外に早く順番が回ってきた。
私も早く読んで返却して次の人に回そう。

4月1日、早朝の博多駅、夜の大阪駅で、多くのリクルート・スーツの男女を見た。

はじめは「その日」とわからず、あっちにもこっちにもいる同じ格好をした若者を見て、「私が田舎に引っ込んでいる間に日本人のファッションは大幅に変わったんかいな?」なんて呑気なことを一瞬考えたが、「ああ入社式か」と気づく。

男性は老いも若きも全般にダークスーツだから新入社員とは遠目には気づかないが、女性は新入社員だけが黒のスーツに白のシャツブラウスという服装だから、特に目立つ。
みな、ローヒールとはいえ歩きにくそうな黒のパンプスを履いている。
型で押したような同じ制服(?)を来た、団体ではない多数の個人を見るのは、目眩しそうな感じ。

「就活」という言葉は知っていても、実際を知らない私は、彼女たちを
「昔はこんな制服状態じゃなかったはず」
「もう少し、個性を出してもいいんじゃない?」
「男の子の方がまだネクタイという識別マーカーがあるけど女子は見分けもつかない」
「あんな靴はいて、あんな歩き方して…。年取ったら膝痛・腰痛になるよ」
なんて、ちょっと意地悪な視線で見ていた。

この『何者』を読んで、そんな冷たい視線で黒いスーツ姿を見ていたことを反省。

就職活動とはこんなにシビアなものだとは知らなかった。
あの日私が見た黒のスーツを来た人たちは、それ以前の1年以上をかけて“修羅場”をくぐり抜け、闘い抜き、「希望に満ちて」か「不本意ながらも」かは別として入社式までたどりついた勇士たちだったのだ!

大学を卒業するときは、これからどう生きていくか=就職のこと、それまでの友人関係(恋愛も含む)の変動など、確かにたいへんなとき。
それを同世代の作家がうまく表現している。

この小説では「就職活動」とともに「SNSでの言葉」も大きなテーマである。
ツイッターを使いこなす若者たちが、140文字の制限の中で常套句をまきちらしながら、本来の自分(の言葉)から乖離していく様子が描かれている。
誰もが批評家になり、匿名で言いたいことを言う、批判する、論評する…確かに、危険性をはらんだ状況。

『桐島、部活やめるってよ』でも思ったが、「こういうときにこういうリアクションする子いるよね」と一瞬の言動をすくい取る表現が巧み。
観察力に優れた有望な作家だと思う。
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